「神戸一哲」
「神戸たこ焼き」のサイトのかず氏から「神戸たこ焼きかどうか不詳?」と言う立場で紹介を頂いた六甲道の「一哲」にいってみた。確かに写真をみる限りにおいては明石焼き風であり、少し苦しいのではないかと思っていた。しかし色々なスタイルの神戸式たこ焼きをみてきて、かなり意識の許容範囲が広まり、少し遠いが訪れてみる事にした。

ところが結論的にはこれは「神戸たこ焼き」しかも「神戸下町たこ焼き」にかなり近しいものであった。と言うのはまた新しいスタイルであったからである。

店に入ると「神戸たこ焼き」のことを解説した貼り紙があり、その中で「神戸たこ焼き」のことを正しく説明している。しかもその中で「下町」と言う言葉を用いており、正に我が現在用いている「神戸下町たこ焼き」のテーゼを大変に良く理解されていることがわかる。その内容は後述するとして先ず注文してみる。

でてきたものは確かに別台にたこ焼きがのり、別に碗に出汁が付いて来る。店の写真は明石式の赤漆板であったが、でてきたものは簾にのせてある。いわばざるたこ焼きである。しかし意外なことに出汁を足すための出汁注ぎが付いてきた。これは初めてのスタイルである。

つまり確かにざるのたこ焼きに出汁を懸けることは出来ないが、出汁は十二分にあり、付け出汁式は出汁が少ないと言う問題的はここで解消されるわけである。そしてソースもカツオ粉も付けることが前提となっており、これは正に「神戸たこ焼き」と認めざるを得ない。丼に最初から懸ける方式を「下町」式と定義しているので「神戸下町たこ焼き」とは少し言い難いが結果論はほぼ同じであるのだから。

そしてたこ焼きの出来は非常によく、外はあくまでカリッと十分に焼いてあり、それが香

ばしい。出汁は少し薄いかなと言う感じがしたが、カツオ粉を振って確かに丁度よい味となる。

 

長田で修行し、そして十二分に「神戸下町たこ焼き」の本質を理解しながら何故にこの様なスタイルにたどり着いたのか。その点は貼り紙が解説している。説明によると昔の店は最初からたこ焼きに出汁を懸けてだすことは認識されおり、それを正しく解説されている。しかしそれでは何故に明石風のスタイルを取ったかといえば、ソースだけ、出汁だけ、そしてソースと出汁という三つの味を順次味わって貰う為の工夫であるという。なるほどと思ったので実践してみた。つまりぶっかけ式では出来ないソースだけ法をとる事も出来るのであり、色々な味が楽しめる。これはいわば神戸下町式を一段高めた少し高級な世界ではある。かなり「神戸下町たこ焼き」に近く、本質は同じものだが、ぶっかけ式を外した点においてはやはり「神戸たこ焼き」の店、○というランクで捉えておきたいと思う。

思うに丼や碗にぶっかけた神戸の「出汁たこ」はそれが一つの景観であると考えたい。これは店としては選択肢を残し、ぶっかけ式もメニューにのせられたらどうかとは思われた所である。

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